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AIチャットボットが人間関係を変えていく?/AI chatbots’ influence on social interaction

  • 2月6日
  • 読了時間: 8分

「お母さんに話しても、欲しい答えが返ってこない」

「最近チャッピーに相談する」

(生成AIは)「欲しい答えをくれる」「具体的にアドバイスくれる」「質問しただけで褒めてくれる」「私の気持ちをわかってくれる」


これらの言葉は、実際に中学生たちから聞く言葉です。

以前「生成AIと子ども」でも紹介しましたが、小中学生の生成AI使用率は年々増加しており、一歩先ゆくアメリカでは思春期の7割以降は使用している一方、それを保護者が把握していないという現状がわかっています。


アメリカ心理学会で2026年のトレンドの一つ目に挙がったのが、AIのことです。特に、AIチャットボットが人間関係をどのように変容させてきているか、今後どうなるかということが話題になっています。


孤独を和らげる「関係性構築」を目的としたAIチャットボット


character.AIをご存知ですか?

私は全く知りませんでした。こんなnote を書いているのに、もともと生成AIには疎い方でした。カウンセリング現場で子供達が思った以上に生成AIと日々会話していることに驚き、しっかり知りたくて、現在勉強中です。


character. AIは、架空のキャラクターとの対話を可能にするAI チャットアプリです。アニメのキャラ、偉人、架空のキャラクターなど、数百万のAIと話すことができて、そのキャラになりきって返答してくれるので、会話、ロールプレイや物語制作ができるそうです。このcharacer AIの月間ユーザー数は2000万人、そしてその半数以上が24歳以下の若者です。


もう一つ、ReplikaというAIチャットボットがあります。こちらは自分でキャラを作成して、育てていくもので、会話をすればするほどユーザー好みになっていきます。感情に寄り添って孤独を癒すことを目的としているため、AIパートナーを作る感覚です。友達を招待して、Replikaパートナーとのオンラインでの結婚式を行うことは、アメリカではすでによくあることになっているようです。


代表選手として上記二つを紹介しましたが、他にもたくさんあるのでしょう。日本の学生から聞くのはおもにチャットGPTです。いつでも話しかけられる。いつでも聞いてくれる。受け止めてくれる。欲しい答えをくれる。自分好みに変容していってくれる。こんなチャットボット、便利だし気晴らしに、暇な時、ちょっと誰に話していいかわからない時、話しかけてしまう気持ちになりますよね。


なぜAIチャットボットが問題か。


チャットボットを活用してコミュニケーションスキルを学ぶトレーニングも開発されていますし、何よりすぐに対応してくれるチャットボットは、人間にとって便利で生産性を高めてくれる相棒になるはずです。しかし、今チャットボットがユーザーの心理面に及ぼす問題が話題になっています。


まず、チャットボットは、ユーザーを会話にとどまらせ、また戻ってくるように設計されています。そのため、ユーザーの感情を汲み取り共感して、次の会話に繋ぎます。まだ批判的思考の未発達の子どもたちがそこに感情ある人を想像するのは当たり前ですが(詳しくは「生成AIと子ども」をご覧ください)、大人も同じ現象になってしまうとわかってきているのが現状です。


いま、全米ではチャットボット使用者の半数以上が毎日利用し、メンタルにかかわる相談をしています。しかし、チャットボットはメンタルヘルスのプロではないため、ユーザーに良かれと共感し、ユーザーの意思を尊重した情報提供をします。そこで昨年大きく問題になったのが、毎日AIと話していた高校生が、自殺の方法をAIに教えてもらい、亡くなってしまったことです。メンタルヘルスのプロフェッショナルとして設計されていないチャットボット。でも、自分の考えを受け止め、そして自分が欲しいアドバイスをくれるチャットボットに、人は徐々に信頼を置くようになり、擬人化してしまいます。そしてその情報は、メンタルが弱っている人を違う意味で手伝ってしまっているケースが出ているのです。


もうひとつ、大きな話題となっているのがAI psychosisと言われるもの。

これは、AIと話しているうちに自分の頭の中の空想の世界が現実だと思い込んでしまったり、鬱を悪化させてしまうなのどの事象が増えてきているために、AIのメンタルへの影響ではないかということでメディアが使い始めた言葉です。実際の精神疾患としての名称ではありません。全てを肯定し、さらに本人の世界を広めるお手伝いをしてくれるAIとの対話を続けることで、空想・妄想の世界と現実との境目が曖昧になっていくことが原因とされています。


生成AIが広まっている今こそ、生成AIの正しい使い方を子どもたちに広め、年齢制限含めリスクヘッジのために大人ができることを素早く決めることが望まれています。


今年の1月15日、全米規模で2260名の母親に対して調査からAIの子ども使用の実態と保護者の懸念事項をまとめた論文が発表されました。


AIに対して肯定的で良いものだという認識の母親はわずか6%で、懸念事項のほうが多いことがわかりました。母親たちの最大の懸念は、次の3つの領域に集中しています。①安全ではない/不適切なコンテンツ(63%)、②人間対AIの交流を通しての混乱(55%)、③行動・社会情緒的変化(51%)です。


個人的に驚いたのは、幼児期および学童期でのAI日常使用・依存が始まっているという結果です。母親の約19%は、子供を楽しませるためにAIを使用していると回答しており、0~3歳では4分の1、4~7歳では3分の1と増加していました。8~12歳の子供のうち、25%が思考、整理、計画といったタスクを遂行するためにAIを利用していることがわかりました。思考、整理、計画といったタスクは、実行能力の発達に不可欠な機能で、元来は自分で行うことで経験を通して身につけていくものでもあります。


日本の幼児期、学童期での使用についてはわかりません。どなたか、データお持ちでしたらぜひ教えてください。


でも、お子さんが小さければ小さいほど、自分でかんがえる前に、「聞いてみよう」という発想になりやすいことは容易に想像がつきます。データ収集のリソースでもある生成AIに、子どもならなんでも聞いて、詳しく知るために自分のさまざまな情報を提供してしまうこともあるでしょう。


大人とこどもの違いと、大人ができること


大人にとって仕事で「ツール」としてAIはとても役立ちます。

自分が作った資料を、他者にに見やすく整えるアイデアをもらったり、わからない用語に関する資料を集めたり。あくまで自分主体で作りたいものがあってそのためのツールです。実際にAIが作成したものを見直して、さらに自分で修正を加えて完成させていきます。


子どもが何をどう使うか。これはこれからリサーチが進むと思います。

我が家も中学生の子どもたちが使い始めています。漢字テスト用の暗記シートを作ってもらったり、自分が描きたい絵のアイデアを伝えて膨らませていったり、わからない用語をわかりやすく説明してもらったり、いろいろ使っているようですが、頻度は多くありません。私は自分がAIを使った時には「今日こんなこと聞いたら、こういうものが作られてきたよ」などと共有することもあります。PCを使う時間、頻度、場所を管理しながら、使って調べたことなどを話し合うよう心がけています。


アメリカにはサイバーサイコロジーという学問があります。サイバーサイコロジーで博士号をとっているDr. Woodが言っていたのは、チャットボットもAIも、チームスポーツのようなものだと捉えるべきだということです。AI対1人でAIの発言すべてを鵜呑みにするのではなく、AIに言われたこと、AIから提案されたことを、こんな結果が出たよ、どう思う?これあっているかな?と「人」で確認することが、現時点では大切とのことでした。特に子どもの場合には、まずは子供がどのくらい何をどんな目的で使っているかを、日々の対話の中から把握しておくことを推奨しています。そして保護者が一緒に使ってみる、意見交換をしていくことが大切だと思います。


解決志向で保護者が不安を解消するためにできることを考えよう


今回もソリューション、解決志向で少しAIについて考えてみたいと思います。

みなさんはお子さんのAI使用に不安はありますか?テーマはお子さんのAI使用ということにして、それについて考えてみましょう。


  1. 保護者が「この使い方なら子どものAIチャットボット使用も大丈夫」と感じていると想像してみましょう。・そのとき、おこさんははAIチャットボットをどんな目的で、どんな頻度で使っていますか?・保護者は、何を知っている/見えているから安心できていますか?・保護者はそれをどのようにして知っている/見えているのでしょうか。


  2. デジタル機器全般で考えて、「これは比較的安心して子どもに使わせている」ものはありますか?・それが安心なのは、どうしてでしょうか?・その理由のうち、AIチャットボットにもそのまま当てはめられそうなものはどれでしょうか。


  3. 保護者の不安は、子どもの何を一番大切にしたい気持ちから来ていると思いますか?・その大切にしたいものがきちんと守られていると分かるサインはどんなものですか?・そのサインを、日常の中でどうやって確認できそうでしょう?


最後に、これからAIが広がり子どもに親からは見えない世界が広がるかもしれませんが、一番大切なことは、お子さんが何かあったらパパママに言えるという信頼関係がしっかりあることだと思います。思春期のお子さんはなんでも話してくれるわけではないと思います。だんだん保護者に言うこと、言わないことを選別するようになります。でも、どうしよう!誰に相談しよう!となった時に、チャッピーの前に、AIの前に、パパママの顔がしっかり浮かぶようになっていて欲しいですね。


その「いざという時に話してくれる関係」を維持する/作るために、保護者が意識できそうな態度や言葉は何でしょう?この問いは、私自身もいち保護者として、いつも忘れずに自分に問いかけ、実践したいと思います。


今回はAIチャットボットのリスクばかりをお伝えしてしまいましたが、次回もっと明るい最新情報も発信できればと思います。アメリカはサイバーサイコロジーとAIとメンタルの話が今さかんです。私もそちらの勉強会コミュニティに入ってみたので、勉強を重ね、役立つことは発信していきたいと思います。



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